(2017/07/16 01:55 追記 検証まとめに設定可能なパラメータ)
EA_final_max_1pair とは?
【EA_final_max_1pair】は2019/06/05にリリースされた ねこ博士 さん開発の15分足使用スキャルピングEAです。
2017年3月にリリースされた【EA_final_max_5pair】というEAがありましたが、それとの違いについて作者様は言及されてます。
・5pair版は完全同一ロジックであるが、1pair版は各通貨ペアに合わせて最適なパラメータを設定してある。
・同一ロジックである5pairはロジックの優位性、安定性は期待できる。
・一方で、1pairは最適化されている故に、トレード頻度や収益性がかなり高まっている。
ということです。
5pairと同様に USD/JPY、AUD/USD、USD/CHF、EUR/USD、GBP/USD という5通貨ペアに対応。
デフォルト設定はTP10、SL90(設定で変えることができます)、最大ポジションはそれぞれ3(これも変更可能)。
対応通貨ペア毎にそれぞれのEAが用意されていますが、私は全ての通貨ペア版がセットになっている【『EA_final_max_1pair』フルセット】を導入したので今回はこのフルセット版を中心にレビュー、検証をしてみたいと思います。
『EA_final_max_1pair』フルセットの検証
<検証環境>
ヒストリカルデータ : デューカスコピー
バックテスト期間 : 2003/08/05~2019/07/13 (5,822日)
ロット数 : 0.1
スプレッド : 変動
Tick Data Suite 使用
Tick Data Suiteを使用することで、よりリアルに近い検証になっていると思います。
各通貨ペア別の検証
まずは各通貨ペアそれぞれの検証です。
GBP/USD
EUR/USD
USD/JPY
USD/CHF
AUD/USD
最適化されている効果でしょうか。
どれをとっても素晴らしい曲線ですね。
単独での運用も十分に期待できそうです。
PD | ED | DY | DF | AD | |
profit($) | 18,976.71 | 11,595.62 | 12562.41 | 7227.53 | 10830.61 |
トレード数 | 5,843 | 2,786 | 4,262 | 2,608 | 2,581 |
年間平均トレード数 | 366 | 175 | 267 | 164 | 162 |
年間期待収支($) | 1,185.96 | 724.71 | 789.12 | 463.91 | 726.13 |
PF | 1.55 | 1.83 | 1.52 | 1.49 | 1.86 |
DD | 1,457.10 | 597.56 | 801.78 | 628.95 | 1,040.34 |
DD % | 13.37% | 5.79% | 6.53% | 3.75% | 7.95% |
Ret/DD | 13.02 | 19.40 | 15.67 | 11.49 | 10.41 |
GBP/USDのトレード数が多いですね。
年間期待収支も高いと同時にドローダウンも深いようです。
一方、EUR/USDやUSD/CHFはドローダウンが浅いですね。
続いてはせっかくのフルセット版なので、それぞれのEAの設定ロット数を0.1にしてポートフォリオを構成してみました。
5つの通貨ペアでポートフォリオを構成
その前に、EAパラメータ設定の中で最大ポジションの設定があります。
これはそれぞれの最大ポジションはもちろん設定できるのですが、複数通貨ペアを使う場合に同一口座で全ての通貨ペアでの合計最大ポジションを設定できることができます。
例えばこれを「5」に設定している場合、ユーロドルが2ポジション取ったら残りの4通貨ペアであと3ポジションしか取ることができないように制限できるということです。
この設定を「15」にすると、5つ全ての通貨ペアで制限なく3ポジションを取ってくれる、といった感じですね。
恐らくは大量のポジションがエントリーすることへのリスク軽減措置だと思います。
ここでは各通貨ペア最大ポジション数をデフォルト設定の「3」としてそれぞれの通貨ペアのバックテスト結果を出し、それからポートフォリオを構成しているので実際に運用するときのアカウント最大ポジション数は「15」にすると下記の検証と同様になると思います。
それではポートフォリオ版のQuantAnalyzerの結果です。
5EA | |
profit($) | 61,192.88 |
トレード数 | 18,080 |
年間平均トレード数 | 1,133 |
年間期待収支($) | 3,824.69 |
PF | 1.61 |
DD | 1,526.51 |
DD % | 2.56% |
Ret/DD | 40.09 |
17年通して年間マイナスの年は無し。
連続マイナスの月も17年間で2か月連続マイナスが1回のみと素晴らしいですね。
一方で、-$649/月が2008年にあります。
どうやら多通貨ペアでドカンが重なったようで、こういう事もあるというのは頭に入れておかないといけないですね。
日単位の相関性。
月単位の相関性。
GBP/USDとEUR/USDの0.16が最大値。
そこまで気にしなくても良いですね。
検証まとめ
今回は【『EA_final_max_1pair』フルセット】を検証してみました。
最大3ポジションを5通貨ペアで取ることによってDDに対する回復力、スピードというのはとてつもなく素晴らしいものがあります。
少々ストップロスに引っかかっても多ポジションの高勝率で回復していこうといった感じです。
そして注意点としてはやはり利小損大型、いわゆる「コツコツドカン」ということでしょう。
TP10に対してSL90ということは3ポジションがSLになった場合、設定ロット数に対し合計で-270pipsとなります。
これはドル円だとロット数0.1でも-27,000円となるので注意が必要です。
そしてこれは運用しながら確認していきたいと思うのですが、撤退ロジックというものは逆側のエントリーサインが出たときにドテンする挙動のみだと思うんですよねぇ。
まだ分からない点があって、恐らく、としか言えないですけど(^_^;)
その他の決済方法としては週末決済であったり、ポジションを取ってから経過時間決済というものを除くと指値で決済するEAです。
つまり、エントリー時に優位性があると思ってエントリーしても、時間が経つにつれて段々とそのエントリー根拠が失われていったときに疑問点が出てくるということです。
個人的には何かしらの撤退ロジックはあったほうが良いとは思うのですが、こういう性格のEAだということは念頭に置いて運用していくしかありません。
(2019/07/16 01:55追記)
上記はデフォルト設定での決済方法です。
設定できる項目として
・トレーリングストップ
・指標(指定時間)フィルタ
・UK指標フィルタ
・US指標フィルタ
などがあり、お好みで設定することができます。
あと設定できる項目として、
・ブースト値
・TP,SL値設定
・トレード時間
・スプレッド、スリッページ、GMT設定
・指定時間エントリーフィルタ
・口座に含み益がある場合にエントリーするモード
等があります。
これもお好みの設定にできそうですね。
(追記終わり)
あとはこれは体感で予想なのですが実際に運用していて気付いた点として、長期トレンドを見ていそうな気がします。
短期的には逆に見えるところでも大きな流れに逆らわないエントリーをすることによって逆行しても戻ってくる確率が高い、ということではないでしょうか。
この点については、運用しながらまた確認していきたいと思います。
設定ロット数の注意は必要とは思いますが、バックテストを見る限り素晴らしいEAと言えます。
後はフォワードでどうなっていくかです。
期待をしながら見守っていきたいと思います。
この検証、考察が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
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